Cream Puff

 くぅ、とルフィの腹が鳴った。
「いよっし!おやつだー!」
 実に正確な腹時計に呆れつつも、ウソップとチョッパーも後に続く。と、そこで
「30分は待ったほうがいいわ。今行っても、甘〜い空気に中てられるだけよ。」
「「……??」」
 意味はさっぱり分からなかったが、ここはナミに従っておいたほうがよさそうだと、二人は瞬時に悟った。


 キッチンでは、サンジが最後の盛り付けをしているところだった。
 ルフィはそこへバタバタっと駆け込んでくるや、
「サンジ!おやつなんだぁ??」
 期待に満ち満ちた目で見つめられてサンジは苦笑した。
「プチシューだよ。ホラ。」
 口開けろ、と言って、ひとつ、おまけで放り込んでやると、ほとんど噛む間もなく飲み込んだ(ように見える)ルフィが目を輝かせた。
「何だこれ!苺が入ってる!すっげぇうめぇ!!」
 その言葉を待っていた、と言わんばかりにサンジはにっこりと笑った。
「当たり前だ。俺が作ったんだからな。」
 するとルフィは喜色満面のまま、チュッとサンジに口付けてきた。
 子供のように熱いルフィの口の中には、まだクリームの甘みと苺の爽やかな風味が残っていて。
「ふぅ、んっ……。」
 サンジの息が上がり始める頃、漸くルフィは彼を解放した。
「いきなり何すっ……!」
 真っ赤な顔で文句を言いかけると、またも嬉しそうに。
「な?美味かっただろ?」
 その顔に、サンジは弱いのだ。


 ドアの外では、甘い匂いにお腹を空かせた船員たち。
「ねぇ……いい加減、誰か、中の二人に声掛けてきなさいよ。」
「オ、オオ俺は嫌だぞ!よし、ゾロ!行ってこい!!」
「zzz……。」
「って寝てるし!!」

 ロビンはふふ、と笑って、楽しげにドアを眺めた。
「ごめんなさいね、コックさん。」
 そして、ドアにはぱぁっと華が舞い。
「「…………?!」」
 バカップルは、丸見えになりましたとさ。

 ちなみにこの時、プチシューは既に半分以上が消えていたそうな。


<fin.>