このところ、珍しく四季が順々に巡っている。
――但し、とんでもないスピードで、だが。
4日前はカンカン照りだった。
一昨日上陸した島は、紅葉で山肌が一面燃え立つようだった。
そして今日は、甲板に雪が降り積もっている。
「ご馳走様、サンジくん。美味しかったわ。」
「お先に失礼するわね、コックさん。」
女たちはにっこりしながら、部屋へと引き上げていった。いつもならもう少しのんびりしていくのだが、小さい部屋のほうが暖まりやすいからだ。
サンジは残念に思いつつ手を振った。
「後で紅茶とおやつを持っていくよ。」
今日のおやつはスイートポテトだ。
2日前に仕入れたばかりのサツマイモは、粘り気があって甘みが強い。砂糖をあまり入れなくても十分に旨いだろう。少し胃に重いそれの為に、昼食はいつもより軽めにしてあった。そうまでするほどには、サンジの気に入る逸品だった。
そんなサンジの嬉しげな様子が伝わったのだろう、ナミもロビンもますます笑顔になった。
「よろしくね、サンジくん!」
「お任せあれ。」
パタン、とドアが閉まる。サンジは女性たちに向けていた緩みきった顔を、一瞬で元に戻して振り返った。そこには、思い思いに過ごす男共。
男部屋は天井が高い上、暖房器具はだるまストーブがたった1個のみ。比べてキッチンは、波を被っても多少のことでは浸水しないくらい気密性が高い。しかも、男部屋よりはかなり手狭で暖まりやすい。
そんな訳で、今日はここにストーブを持ち込んで皆くつろいでいるのだ。